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信頼性(Reliability)は「壊れにくさ」の指標
信頼性(Reliability)とは、“システムが持つ故障への耐性の度合い”のことを指す。
一般的には平均故障間隔(分)で評価する。平均故障間隔の値が大きければ大きいほど信頼性は高いといえる。
可用性(Availability)は「使いたい時に使えるか」の指標
可用性(Availability)とは、”システムが継続して稼働できる能力の度合い”のことを指す。
一般的には稼働率(%)で評価する。稼働率の値が大きければ大きいほど可用性は高いといえる。
信頼性と可用性はまったく違う(同義ではない)
上記で整理したとおり、信頼性と可用性は似ているようでまったく違う。
極端に例えるなら、毎晩23時に原因不明のバグにより1時間ダウンしてしまう信頼性の低いシステムの場合でも、そのシステムを使いたい時間が日中9時~18時なのであれば可用性的には高くまったく問題ないといえる。
この極端な例の場合だと、信頼性の指標である「平均故障間隔」と可用性の指標である「稼働率」はそれぞれ以下の通りとなる。
- 信頼性(平均故障間隔):23時間
- 可用性(稼働率):100%
またコンポーネント(部品)の信頼性が低くても、システム全体の可用性は高くすることができる(冗長化)。
以下の日経 TECHの記事がそのことをよく表しているので引用する。
画像: http://tech.nikkeibp.co.jp/it/atcl/column/17/011900625/011900007/
意外と知らないネットワーク用語の違い|信頼性と可用性は何が違う?
両者の違いは、「1000時間故障しないで稼働できるが、故障すると1000時間使えない機器」と、「99時間稼働すると、故障して1時間使えなくなる機器」で考えるとわかりやすい。この場合、前者は信頼性が高いといえる。
一度稼働し始めれば確実に1000時間は動き続けるからで、故障間隔が短い。その一方で、後者は可用性が高いといえる。稼働率が99%だからだ。ちなみに前者の稼働率は50%である。
信頼性の低い機器でも、組み合わせることで可用性の高いシステムを作り上げることができる。1000時間稼働して1000時間使えない機器を2台用意し、それを交互に動作させるのだ。こうすればシステム全体としては常に使える状態ができるので、可用性は高くなる。このように2台以上の体制にすることを冗長化と呼ぶ。信頼性の低い機器も冗長化によって可用性の高いシステムを作れるのである。
出典:日経 TECH
RAS、RASISという概念
信頼性(Reliability)と可用性(Availability)はしばしばRAS、またはRASISというくくりでまとめられることがある。
これは以下の評価基準の頭文字を並べたもので、前半の3つ「RAS」については定量的な評価指標があり、後半の2つ「IS」については定性的な評価をすることになる。
- 信頼性:Reliability
- 可用性:Availability
- 保守性:Serviceability
- 保全性:Integrity
- 機密性:Security
保守性(Serviceability)
保守性(Serviceability)とは、”障害復旧(メンテナンス)の容易さの度合い”のことを指す。
一般的には平均修理時間(分)で評価する。平均修理時間の値が小さければ小さいほど保守性は高いといえる。
保全性(Integrity)
保全性(Integrity)とは、”情報が矛盾を起こさずに一貫性を保てる度合い”のことを指す。この他に「完全性」とも呼ばれる。
一般的には定性的な評価がなされ、数値的な評価指標はない。
機密性(Security)
機密性(Security)とは、”情報の外部流出の起きにくさの度合い”のことを指す。この他に「安全性」とも呼ばれる。
一般的には定性的な評価がなされ、数値的な評価指標はない。